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永井 純のファッション・ライヴ
 
 
vol.76 <St.ODIN>大失敗! 生地柄の縦横



洋服を作る生地に縦と横があるのをご存知ですか?

この縦と横の関係は、
基本的に生地から服を作るのにとても大切な関係である。

まず、生地を作る際に、
初めに縦の糸をすべて成型してから横糸を織り込んでいく。
この縦糸を成型する時にストライプやチェックの柄などの基礎となる色を成型したりする。
そして横糸が入ることによって柄が出来上がっているだ。

生地には巾があって、
例えば、ウールなどはW巾といって150cm前後の巾がある。
けれども私たちがよく着ているストレッチ素材などは
織り上がりは150cm以上ある生地を整理(形を整えるために水通しや湯通しなどをして生
地を縮める)して120〜135cmくらいにする。

その巾の中で横の柄の巾が決まるのだが、
縦の柄というのは、生地を織る機械によってできる柄が制限される。
3cmくらいの柄しかできないもの、10cmくらいの柄ができるもの、
50cmまでできるもの、それ以上のもの、、、いろいろです。
その時々の柄に合わせて機械が設定されていく。

巾が広くできるものの機械は数が少ないので、稀少価値が上がる。
生地のお値段も高くなりますが、新しい柄や面白い柄などができて素敵な生地になていく。

私が使う生地もこのちょっと新しい柄や珍しい柄の生地が多いのだが、
そこでさらに縦を横に、横を縦に使ったりとして
さらには、斜めにして使ったりもする。
そうすることで元々あった生地に新しい第ニの命を吹き込むのだ。

ところがこれが結構曲者で、
そんな私のデザインの性格や癖を知ってる職人さんでも「ん?」と思うことがあるようで
指示した柄の方向で出来上がって来ない時があったりするのだ。

それは、生地を切る工場の人が「これじゃぁ、ちょっとおかしいね〜」と思ったり、
この取り方だと生地が歪むと思ったり、
バランスがおかしいと思ったりして解釈を間違ってしまって進んでしまう時。
そうなる可能性は数知れず。。。

でも、そこで「これはどうなの?」という問いかけが普通あってもいいのに
ちょっとしたタイミングのズレでそれがなかった時に
爆弾のような衝撃の事実が待っているのだ!!!

「何これ? 逆やん?!」

そんな時に使った生地がたった1着だけしかない貴重な生地だったりしたら
もう怒りの大爆発!!!

「なんで相談してくれんかったん!!!」
わなわな震えるほど怒ってしまう自分がいそこにいる。
でもそれも人に怒っても詮無いこと。
自分の指示の悪さを痛感しながらどこまでも落ち込んでいく。

「横についてないと、できないの?」
「ちゃんと説明したでしょ!!!」

言いたいことは山のようにある。
でもそれも言ってても仕方がないと分かっていてもぐちぐち言いたくなってくる。
肝っ玉の小さい奴!だと思われても、言わなきゃ気が済まなくなる時もある。
でも、言ってしまったらダメだ!と、グッと堪えたりしてたら
とことん落ち込んでしまう。
後はもう、後はイメージのものをちゃんと作るためにできることを最大限にしなきゃ!だ。

なぜ、こんなことになるんだろ?

表と裏が逆になることや、上と下が反対になったり。
前の中心の柄が思った場所からずれていたり。
デザイン的に入っている切り替えが柄を台無しにしてしまったり。
柄の上下が逆になったり。

服作りは人の手によるアナログ世界。
出来上がった生地を切るために型紙を置いたり、柄を合わせたり、
その生地を切ったり、縫製をしたり。。。
そのひとつひとつがすべて人の手によるものだ。

ボタンを押したら、オートメーションでポンポンっと
前身頃や袖が切れてでてきて、
そのまま人体に着たような感じで縫い合わさっていく、、、なんていうのは、
今私が考えている「服作り」とはちょっと違うのだ。
(そんなことも今ではやっているところもあるらしい。すごいね!)

未来永劫手のかかる仕事ではあるけれど、でも衣服を着るという習慣がなくな
ることがない限りこの「服作り」というのはこれからも続いていく訳で
ちょっとした勘違いや思い違いで大失敗をしてしまうこともあるけど、
それ以上に人の温もりが感じられる「服作り」にこだわるのは、
作り手から着る人への「愛」を伝えたいって思いがいっぱいだから。。。

そんなちょっと素敵な思いの陰で、
生地の表裏の話でデザイナーと職人のバトルが繰り広げられていることなど
誰が知っていることだろうか?

昨日も今日も、もちろん明後日もとんでもないことにならないように
生地の表裏、縦横、斜め、柄の向きや中央指示など、
夏物なんて透け透けの生地なんかがあって、その透け感をどう料理するのかを
いろいろと考えたりして、あ〜でもない、こ〜でもないって
試行錯誤の末、素敵な服になっていってるのだ。

そんなやり取りの末に出来がった服たちは、そんな出来事なんて知らんぷり
して「おすまし顔」で店頭に並んでいる。

どうですか?
服たちの声があなたには聞こえてきませんか?
『どう私、美人でしょ?』

次回につづく
 
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