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永井 純のファッション・ライヴ
 
 
vol.45 <St.ODIM>春の訪れ
今日も少し春が近付いてきているのを感じませんか?
陽の光り、風の香り、街行く人々の服装などなど・・・あなたはどんなことに春を感じますか?

先日、奈良の東大寺二月堂修二会のお水取りに行ってきました。
久しぶりの奈良。大阪から第二阪奈でナント、東大寺まで一直線!
地図を見ながら、このまま行ったらいいのかな〜と料金所で聞くと「まっすぐ行って突き当たり!」と言われました。
ホント、その通り!まっすぐで突き当たりが東大寺。所要時間50分。
奈良って近かったんだ〜。急に身近に感じてちょっと感動した瞬間でした。

到着したのは午後3時半。もちろんオーディンも一緒!奈良公園の鹿に会わせたかったのです。
最初は珍しがって追いかけたりしていたのですが、(鹿はひょんひょんって軽やかに走って行ってしまいました) 売店近くにいる鹿はオーディンを見かけるとじ〜っと見つめていきなり前足でたたきに来たのです。
「たたかれたら死んでしまうよ!」と売店のおばさん。
一匹がそんな態度をとると同じようにしてくる鹿にちょっと恐くなってシっ、シっと追い払う有り様でした。 う〜ん、鹿恐い!

お水取りの舞台となる二月堂まで上がるとすでに場所取りをしている観客や報道のカメラマンなどがちらほら。
お堂まで上がるとそこから奈良の町が一望できました。
昔の人はここから見える風景をどんな想いで見つめていたのでしょう。今のように家もなくず〜っと田畑が続いていたのでしょうか?

メインの時間は午後7時。まだまだ時間があるので一旦降りて時間を潰すことにしました。そして東大寺大仏殿へ行きました。

東大寺はオーディンにとっても優しかったです。
普通お寺や神社は犬を連れて境内に入ろうとすると止められます。オーディンも何度もそういう目に合っています。
しかし、世界遺産に指定されている東大寺は違いました。
大仏殿に入る時も、「犬は抱いてくださいね〜」と警備の方、チケットを切る方がそう言うのです。
決して「犬はちょっと・・・」と露骨に嫌な顔をせず、オーディンにも大仏殿を見せてくれたのです。
だから一緒に大仏を拝顔してくることができました。

「私の目の前にある全てのものが、千二百数十年前に創られたもの・・・」

この目の前にあるものに一体どれだけの年月と人が関わったのでしょうか?
瞼を閉じれば、平城京の朱雀門から溢れるその時代を生きた人々の声が聞こえてきそうな感覚に襲われました。
笑い声、町の商店から聞こえる活気のある声、台所から聞こえる生活の音、足早に歩く人の音、動く時に擦れる衣裳の絹ずれの音・・・ そんな音が聞こえてきそうになるのは、今の私だからかもしれません。
きっと昔来た時の私は若過ぎて、目の前にあるものから聞こえてくる音や感覚を拾うことができなかったのでしょう。
・・・歳を取るのも素敵なことですね。

さて、TVなどで「お水取り」の光景としてよく見られるのは、 11本(本番だけの本数。残りの日は10本)のお松明が次々と上堂し、二月堂の欄干に集まった人々に火の粉を浴びせるシーン。 ニュースなどでも必ず放送されます。
降り注がれた火の粉を持ち帰れたらその一年は無病息災で過ごすことができると言われています。(東大寺さんはそうは言ってないようですが)

あんなに大きな松明を持って走るのはどうして?・・・と思うとそれにも理由がありました。
その昔(天平勝宝3年)、実忠(じっちゅう)和尚という和尚さんがおられたそうで、 その僧侶が笠置山中竜穴の奥で菩薩たちが行っていた有り難い行法を拝観して、 これを地上にうつそうと二月堂を建てて始めたのが始まりと言われているそうです。
ただ菩薩たちが行っていることを人間界でやりたいと願いでた時に、 天上界の一昼夜は人間界では400年に相当すると言われ断られたということです。 しかしそういうことなら千遍の行堂を走ることによって時間を縮めるということにし て許しをもらったとされているそうです。

その行堂を走るために「練行衆」と呼ばれる選ばれたお坊さまたちは 御祓いをして身を清め、結界を張り清浄を保ち、一ヶ月にも及ぶ厳しい精進に励んでいくそうです。
お坊さまたちは世の中の罪を一身に背負い、一般の人々に代わって苦行を引き受ける代苦者、となり苦行を実践して国家安泰等を祈願法要してくださるのです。 そのためのさまざまの苦行を乗り越えていかれます。

お松明は初夜(1日を6回に分けてその時間に合わせて法要をする、そのひとつ。初夜は夜の初めという意味)の行として二月堂へ上がるための灯ということです。
でも木造建築の二月堂へ燃え盛る炎のお松明を持って走っては火事にならないのか?と思ったら
江戸時代に焼けたことがあったんですって。何だかかなり身近に感じられるこのエピソード。
それにしても気をつけてやって欲しいものです。もちろん消防士さんたちが待機されてましたけどね。

ところで、どうして「お水取り」っていうのかご存知ですか? この問いに答えられる人は意外と少ないのではないでしょうか?
「お水取り」が終わると春が来る・・・とよくおばあちゃんが言ってたっけ。でもどうして「お水取り」って言うんだろ?
ここにもちゃんとした答えがありました。

実忠和尚が十一面悔過(けか)法要中に、全国の神の名前を唱えて勧請し行法の無事完了 を祈っていた時、若狭の国の遠敷明神(おにうみょうじん)だけが、大好きな釣に興じ遠 敷川で魚をとっていたために勧請に遅れたそうです。
遠敷明神が遅れた責任をとって、「遠敷川の水を送る」と仏前で誓うと、 二月堂の下のところからニ羽の黒白の鵜が飛び立ったそうです。
すると、不思議や不思議、そこから霊水、閼伽井水が湧き出てきたということです。
それを囲ったのが今の二月堂の閼伽井(あかい)で「若狭井」と呼ばれる由来だそうです。

3月12日の真夜中、13日の早朝3時頃に、その霊水が湧き出たという二月堂下の閼伽井屋(若狭井戸)から 本尊にお供えする香水(こうずい)を汲み上げるための行法を「お水取り」ということなのです。
何でも伝説によるとこの香水はこの日にしか沸いてこないということです。

1年間使う香水を汲み上げられ本尊に供えられるだけではなく、信者にも配られて1年の信仰の水として 使われることらしいです。「お水取り」にはこうした歴史があったのです。

とはいえ、この法要は時代が奈良から平安、戦国、鎌倉、江戸、そして近代に変わっても 休むことなく続いているというのは奇蹟に近いことのような気がします。 その歴史の中に私たちも生きているのかと思うと不思議な気持ちです。

近くにある日本の良さをもう一度見つめ直してもいいかもしれません。
歴史から多くのことを学ぶことができそうです。

鹿のウンチを踏みまくりながら、歩き疲れたオーディンはその夜家へ帰ると、そのままシ ャワーをして夢の中へ・・・吸い込まれたようでした。 次回につづく
 
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